酒さ・赤ら顔

酒さ・赤ら顔とは

赤ら顔は体質的なものから、脂漏性皮膚炎、湿疹、毛孔性苔癬、膠原病、酒さなどの様々な疾患を皮膚科専門医がまずは鑑別します。
赤ら顔で最も多い酒さには様々な病態、臨床像があります。順番に移行するわけではなく別の病気ととらえていただくと良いでしょう。

1期 顔の紅斑、ヒリヒリ、ピリピリ感、発赤が持続、もしくは断続的に現れる。
2期 1期の症状に加え、プツプツとしたニキビに似た発疹が現れる。
3期 鼻の紅斑、腫れ、にきびのようなしこりが出現するしこりを放置すると鼻瘤(だんご鼻)が見られる。

一般的には、慢性的、かゆみが少なくピリピリした感じが強い、火照り感がある、紫外線、飲酒により増悪するといった特徴があります。
また気温の変化や体調の変化によっても症状に波があります。酒さの方はとても過敏肌のため、季節に応じて悪化因子が変わるため、季節に応じてスキンケアの細かい調整が必要です。

原因

 酒さのはっきりとした原因はいまだにわかっておりません。
皮膚表面にいるダニや常在菌に対する過敏反応という説や、自然免疫の異常、血管が拡張する事から血管を制御している神経に関わる説、慢性的な化学物質によるアレルギー反応、ステロイドの影響、食生活の変化等様々な原因が考えられております。

治療

ニキビのようなブツブツが伴う酒さ(主に2期)抗生剤の内服や外用薬が推奨されています。
以下の原因を避けることもとても重要です。
日光、ストレス、暑い気候、風、激しい運動、飲酒、熱いお風呂、寒い気候、辛い食べ物、湿気、熱い飲み物、乳製品

ロゼックスゲル

メトロニダゾールは抗生剤の1つで、古くから酒さの治療に使われてきました。炎症を抑えて、酒さのポツポツを治療します。刺激感がほとんどなく、使いやすい薬です。ゲルなので乾燥する場合があるので保湿してから塗るとよいでしょう。日本では2022年から保険診療で処方できるようになりました。
 

ミルバソゲル

ブリモニジンが脳内のα2受容体を刺激すると血管が拡張し血圧が下がりますが、皮膚などの毛細血管にあるα2受容体を刺激すると、逆に血管が収縮します。
酒さでは顔面の毛細血管が拡張し赤みが発生している為、ブリモニジンを塗布することで一次的に血管を収縮させ赤みを抑えることができるのです。 効果の持続時間は12時間程度のため、大事なイベントがあるときに適宜使用するのがおすすめです。

イベルメクチンクリーム

酒さの原因の一つがニキビダニ(デモデックス、Demodex)の過剰増殖と言われていますが、そのニキビダニを減らして酒さを治療するのがイベルメクチンクリームです。データからもメトロニダゾールよりも酒さのポツポツに効果が高いと言われていて、経験上も典型的な酒さにはかなり効果が高いです。メトロニダゾールよりも効果が出るのが早く、早ければ2週間程度でもかなりの改善がみられます。イベルメクチンもメトロニダゾール同様ほとんど刺激感がありません。日本では保険外診療になります。1日1回の外用が推奨です。
 

アゼライン酸

天然の穀物由来の成分で、炎症を抑える作用があります。海外では酒さだけでなく、ニキビの治療としても保険診療で使われていますが、日本では保険外診療になります。メトロニダゾールやイベルメクチンと違い、刺激感がありますので、かゆく感じてしまう方もいます。長期的な副作用がないため非常に優れた薬ですので、刺激感さえなければ長期的に塗って酒さやニキビを予防する目的にも使えます。
アゼライン酸はポツポツだけでなく、ニキビ跡などの色素沈着にも有効で、美白目的で使う方もいらっしゃいます。

マイクロボトックス

マイクロボトックスとはボトックスをお肌の浅い層に細かく注入していく、ボトックス注入技術です。
従来のしわ治療へのボトックスは、筋肉に直接注射をし、筋肉の動きを抑えますが、マイクロボトックスは筋肉よりも浅い層に注入することで筋肉の動きを残しつつ、たるみを引き締め、小じわなどを目立たなくしてキメを整えます。また、毛穴の開きの改善、過剰な皮脂分泌や発汗を抑えたり、化粧くずれをしにくくする美肌効果もあります。自費治療になります。近年赤ら顔にも効果があることがわかってきました。

イソトレチノイン

イソトレチノインは、米国など海外においては保険適用内で使われている重症ニキビや酒さの内服薬です。日本では保険適用外の薬ですが、酒さのポツポツとした症状を繰り返す場合に効果的な薬です。