乾癬

乾癬とは

 青壮年期に発症することが多く、かさかさとした皮疹が肘、膝、臀部、頭部などよく擦れるところに多発します。かゆみは少ないことが多いです。だいたいの方は体の狭い範囲に皮疹が出ますが、全身に皮疹が出る方もいます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。
 
1000人に1人が発症し、患者さんは全国に約10万人いると推定されています。知名度は低いですが乾癬は顔に皮疹が出ないため気づかれにくいだけ実は多い皮膚病です。

治療

残念がら,現時点で根本治療はありません。ですので症状やライフスタイルに合った適切な治療法を見つけ、症状の改善と生活の質の向上を目指します。
治療は、外用療法、紫外線療法(光線療法)、内服療法、生物学的製剤(点滴・皮下注射)の4つの治療法があります。
生活の注意点は以下が乾癬を悪くすることがわかっています。
①睡眠不足
②脂肪分の多い食事
③飲酒や喫煙
④肥満、運動不足
 

外用治療

確実な治療効果を得るためには、使用量や外用回数を守ることが大切です。
 

ステロイド外用

内服に比べて全身に及ぼす副作用が少ない点からよく用いられます。ビタミンDの外用薬に比べ、効果発現までの期間は短いですが、長期間連用することにより副作用(皮膚が薄くなる、毛細血管が拡張してくる等)が生じやすいお薬です。

ビタミンD外用

ステロイド外用薬と同程度の効果がありますが、ステロイド外用薬よりも効果があらわれるのが遅く、2~3ヵ月かかります。
ぬった部分にヒリヒリとした刺激感を感じることがありますが、長期間にわたって使い続けても副作用が増えることはなく、ステロイド外用薬に次いで多くの患者さんに使われています。

内服療法

患部が広い場合や、皮膚症状が強く外用療法で十分な効果が得られなかった場合に行う治療法です。
 

シクロスポリン(ネオーラル®)

もとは臓器移植の手術をした後に起きる拒絶反応をおさえる薬としてつくられましたが、免疫の異常をおさえる作用をもつことから、乾癬の治療にも使われるようになりました。
高い効果がありますが、血圧の上昇や腎臓の障害などの副作用が起きることがあるので、服用中は定期的な検査を行います。

アプレミラスト(オテズラ®)

2017年に発売された新規薬剤です。PDE4という酵素を阻害することにより炎症を抑え、乾癬の症状を緩和します。飲み始めの頃には、吐き気や下痢、頭痛などが生じることがあります。

レチノイド(ビタミンA誘導体、チガソン®)

皮膚の新陳代謝を調節する働きがあります。
高い効果がありますが、皮膚や粘膜の副作用を起こすことがあります。
また、男女とも服用中に子供ができると奇形が生じる危険があるので注意が必要です(服用前に同意書を記入します)。

ソーティクツ

ソーティクツは、TYK2(チロシンキナーゼ2)阻害薬と呼ばれ、2022年に発売された薬です。これまでの飲み薬とは異なる作用をもつ乾癬の治療薬です。乾癬には、Ⅰ型IFN,IL-23,IL-17,TNFαと呼ばれる様々なサイトカイン(炎症性物質)が関与しています。TYK2を阻害することで、乾癬に関係するサイトカインを抑え、各種症状に効果があります。
服用中は定期的な検査が必要です。