水いぼ

水いぼ(伝染性軟属腫)とは

いわゆる「水いぼ」と呼ばれる小さい出来物です。光沢がありキラッと光るところが水滴のように見えるのでこの名が付いたようです。乳幼児~低学年児童に多くみられます。

原因

軟属腫ウイルスというウイルスに感染して発症します。空気感染ではなく接触で感染・拡大します。プールの時期に多くなるのはこのためで、子供同士の接触のほかビート板などの水泳用具を介しても感染します。兄弟でどちらかが水いぼに感染している場合は、一緒に入浴することでも感染します。

治療

水いぼは現在まだ特効薬はありません。治療法は各医療機関・クリニックが独自に工夫しているところが多いです。一番完治が早いのは摘出法ですが、お子さんの患者さんなど、治療の痛みや恐怖心に合わせてもっとも良い治療法を選択するのが一番でしょう。ここでは主な治療法についてご説明します。

自然に様子を見る

水いぼは平均的に1年ほどで完治する疾患です。ほかの治療法では痛みやアレルギー反応を起こす可能性もあるため、お子さんが治療で怖い思いをしないようにと自然治癒を選ぶ方もいます。気をつけるべき点は、かゆみがあるため患部をひっかきやすく、感染を自分自身や、家族、お友達にも広げてしまう恐れがあること。爪は普段から短く切っておく、患部に触れた手は消毒するといった対応が必要です。

摘除

トラコーマせっしと呼ばれる、先端に輪っかがついたピンセットを使って、水いぼの部分のみをつまんで摘除する方法です。皮膚をつままずに水いぼのみつまめば、痛みはあまりありません。ただし、お子さんの場合は怖がって暴れてしまうことがあります。

この方法で水いぼを摘除した後は、入浴や水泳も可能です。痛みを軽減するために麻酔を含むテープを事前に患部に貼っておくことも可能です。ただし、テープによるアナフィラキシーショックなどのアレルギー反応が出る可能性もまれにありますので、医師の判断に従ってください。

外用薬・内服薬

サリチル酸を含むスピール膏を患部の大きさよりもやや小さく切って、テープで張り付ける方法や、40%硝酸銀ペーストやトリクロロ酢酸、カンタリジン、イミキモド、銀イオンクリームなどの外用薬を用いる方法です。なお、市販のスピール膏はウイルス性いぼに使用しないようにと記載があるため、使用を希望する場合は必ず医師に相談してください。

また、内服薬としてヨクイニンを補助的に用いることもあります。ハトムギから作る生薬で、消炎効果や体内の余分な水分を排出する作用があるとされ、いぼをはじめとする肌トラブルでよく使用されます。

液体窒素

水いぼの治療に、液体窒素を用いる方法もあります。-196度の液体窒素をスプレーあるいは綿棒などで患部に当てると、ウイルスを直接凍結できるため治りが早いこともあります。凍結療法は1~2週間に一度くらいのペースで、3回程度行います。強い痛みを伴うため、お子さんにはつらい治療法かもしれません。また、液体窒素を使ったあとはその部分に血豆や水ぶくれができることがありますが、きちんと水いぼにダメージを与えられている証です。かきむしらないようにし、もし自然に敗れてしまったら清潔なガーゼなどで保護しましょう。