- 円形脱毛症は自然に治ることも多いですが、早期の治療で速やかな改善が見込めるためお気軽にご相談ください。
- 円形脱毛症は甲状腺機能異常や膠原病などが原因のことがあるため、血液検査をお勧めしています。
- 小児の円形脱毛の場合は大人と治療が異なるため、症状や年齢に合わせて治療します。また、小児の場合は自ら毛を抜く抜毛症のことがあるため注意深く診断いたします。
治療
外用治療
確実な治療効果を得るためには、使用量や外用回数を守ることが大切です。
ステロイド外用
ステロイド外用療法は、ステロイド剤を頭皮に直接塗布する治療法で、1日1〜2回患部に塗布します。比較的軽度の単発型、多発型に用いられますが、最近の報告では中症程度の円形脱毛症にも効果が認められたとされています。しかし全頭型や汎発型患者に行なった研究では、一時的には症状が回復したものの、一部の患者は症状が再発し治療前の状態に戻ったという報告があり、重症度の高いレベルでは推奨されていません。
フロジン外用
脱毛部の血の流れを良くする薬剤です。推奨度C1の治療法です。1960年代の論文に効果があるという報告がある程度で、カルプロニウム塩化物の有益性は現段階では十分に実証されていません。しかし、保険適応があることと過去の診療実績による安全性から単発型および多発型の症例に併用療法の一つとして行ってもよいとされています。
局所注射
ケナコルト注射
ステロイド局所注射療法は、ステロイド薬剤を真皮下層から皮下脂肪層に直接注射する治療法で、比較的症状の軽い単発型や多発型の治療に用いられます。投与は1カ月に1回程度で済み、通院時にその場で施術できるため比較的安全性の高い治療といわれています。
当院では多発していたり、外用薬では難治の場合におこなっています。
内服治療
抗アレルギー薬内服
円形脱毛症はアトピーや花粉症、喘息などアレルギー疾患を持っていることが多いため、そのあ場合、抗アレルギー薬を使用します。副作用はほぼなく、長期内服しても安全な薬です。
セファランチン内服
発毛促進効果がある薬です。保険適応があることと過去の診療実績による安全性から単発型および多発型の症例に併用療法の一つとして行ってもよいとされています。
ステロイド内服
ステロイドの内服療法は、発症後 6 カ月以内で、急速に進行している面積25%以上の成人に対し使用期間(一般には3か月以内)を限定して行ってもよいとされています。休薬後の再発率が高いことより、ステロイドの外用・注射などの他標準的治療に抵抗する症例が治療の対象となります。
使用にあたってはステロイド内服の副作用である肥満・満月様顔貌、緑内障、糖尿病、月経不順、消化器症状、ざ瘡、骨粗鬆症などに注意します。なお小児は再発例が多く、安全性も確立しておらず、長期に及ぶ副作用の発現も危惧されることから行わないほうがよいとされています。
JAK阻害薬内服
2022年6月20日、JAK阻害薬【オルミエント】が円形脱毛症の適応となりました。
オルミエントは国際的な臨床治験で治療効果が証明された円形脱毛症に対する初めての内服治療薬です。
国内では2013年から関節リウマチの治療薬として、2020年からは中等症以上のアトピー性皮膚炎治療薬として追加承認されています。
オルミエントの内服治療ができるのは、15歳以上の慢性期の円形脱毛症の患者様で、
症状が出始めて半年以上経過して安定しており、脱毛面積が被髪頭部全体の50%以上の方です。
治療効果は3~6ヵ月程度で実感することが多いようです。
局所免疫療法
SADBE(サドべ)
局所免疫療法は、かぶれを引き起こす物質(SADBE、DPCPなど)を皮膚に塗布して発毛を促す治療法です。脱毛が広範囲に渡る多発型や全頭型に対し、年齢を問わず使用が推奨されています。残念ながら円形脱毛症に対するSADBEやDPCPの治療は保険が適用されず、自費治療になります。施術頻度は週1回〜月1回程度まで、治療の経過を診ながら調整します。
当院では症状が長年変わらず難治の場合におこなっています。